東日本大震災による原発事故をきっかけに、私たちはエネルギーのあり方を改めて考えるようになりました。快適な暮らしは電力などのエネルギーによって支えられていますが、これからはより少ない消費で均衡を保つ社会づくりが求められています。省エネ改修工事は、集合住宅やオフィスビルの設備や断熱性能を改善し、電力使用量を抑えながら快適性と経済性を両立させる取り組みです。節電や地球温暖化対策にも直結し、環境負荷を減らしつつ建物の価値向上にもつながります。
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太陽光発電
再生可能エネルギーである太陽エネルギーを利用して、直接的に電気を生成する装置。発電時にCO2を出さないクリーンなエネルギーです。
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長所
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発電部(セル)に可動部分が無く、原理的に機械的故障が起きにくい
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発電効率が一定なため小規模・分散運用に向く
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発電時に廃棄物・排水・排気・騒音・振動が発生しない
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需要地に近接設置でき、送電コストや損失を最小化できる
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蓄電池利用で非常用電源となりうる
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短所
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発電電力量当たりのコストが他の発電方法より割高な場合が多い
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夜間は発電できず、昼間も天候等により発電量が大きく変動する
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発電量に比較してスケールメリットが効かない
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影、汚れ、降雪等で太陽光を遮蔽されると出力が落ちる
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屋上緑化
屋上緑化は、建物の屋上や屋根部分に植物を植えて緑地化する取り組みです。断熱性の向上や躯体保護といった建物へのメリットに加え、景観向上や生態系の回復にも役立つため、都市環境改善の有効な手法として注目されています。
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長所
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断熱性の向上による冷暖房費削減
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躯体の保護と建物耐久性の向上
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雨水流出の抑制と都市型洪水対策
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大気浄化(汚染物質の吸収・吸着)
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景観の向上と都市美化
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生態系の回復や都市の緑地創出
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短所
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初期導入コストが高い
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植物管理や維持費が継続的にかかる
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屋上の荷重増加による構造的制約
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排水・防水施工の不備による漏水リスク
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植物の生育状況による景観の変動
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高反射塗料
高反射塗料は、太陽光に含まれる近赤外線を効率的に反射し、建物の表面温度上昇を抑える塗料です。これにより昼間の蓄熱を防ぎ、夜間の放熱を緩和することで室内温度の上昇を抑制します。可視光の反射率は色によって左右されますが、近赤外線領域では高反射塗料が高い反射性能を発揮し、日射反射率を高めて遮熱効果を生み出します。
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高反射防水シート
高反射防水シートは、太陽光を効率的に反射して屋上スラブへの蓄熱を抑え、建物内部への熱流入を減少させる防水シートです。一般的な塩ビ系防水シート(反射率30~45%)に比べ、約70%の高い日射反射率を持ち、表面温度の上昇を抑制します。これにより防水層の熱劣化を軽減し、耐用年数を延ばすとともに、屋上部の蓄熱を減らすことで夜間の放熱量を低減し、熱帯夜の緩和にも貢献します。
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高機能窓ガラス
高機能窓ガラスは、断熱性や遮熱性、防音性を高め、快適な室内環境を実現するために設計されたガラスやサッシの総称です。代表的な種類として、ペアガラス、Low-Eガラス、真空ガラス、樹脂サッシなどがあります。
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主な種類と特徴
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ペアガラス(複層ガラス)
2枚のガラスの間に乾燥空気を封入し、断熱性能を高めたガラス。結露防止や冷暖房効率の向上に効果的。
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Low-Eガラス
表面に特殊な金属膜をコーティングし、赤外線(熱線)を反射。
遮熱タイプ:夏の熱を遮り、室内を涼しく保つ
断熱タイプ:冬は暖気を逃さず、太陽熱を取り入れる -
真空ガラス
ペアガラス内部の空気を真空にすることで、さらに高い断熱性能を実現。熱貫流率は一般複層ガラスの約2倍の性能。
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樹脂サッシ
アルミより熱を伝えにくい塩化ビニール樹脂製の枠を使用。断熱性が高く、結露が起こりにくい。寒冷地を中心に普及。
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